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働き方改革

高齢難聴者に対して話す側から聴こえの改善に取り組む

東和薬品(株)HP

事業推進本部 ヘルスケア事業推進部

1.高齢化社会における聴こえの課題

【図1】地域住民を対象に調査して得られた難聴有病率※2
【図1】地域住民を対象に調査して得られた難聴有病率※2

 世界の中でも高齢化が進んでいるとされる日本において、軽度難聴も含めた推定難聴者数は約1430万人※1と言われている。また、国立長寿医療研究センターで実施された疫学調査「老化に関する長期縦断疫学研究(NILS-LSA)」によれば、聴力レベルが25dBHLを超える難聴の有病率は65歳以上から急激に増え始め、75~79歳では男性71.4%、女性67.3%、80歳以上になると男性84.3%、女性73.3%という結果が出ている。【図1】

さらに、2017 年のアルツハイマー病協会国際会議(AAIC)においては、ランセット国際委員会が「認知症の約35% は改善が可能な9つの危険因子に起因し、難聴は高血圧、肥満、糖尿病などとともにその1つに挙げられる」と発表し※3、難聴に対して早期介入することで、認知機能の低下を抑止することに繋がると示唆されている。

2.聴こえの課題解決をサポートする対話支援スピーカー「comuoon(コミューン)」

 加齢性難聴に多いとされる感音難聴では音を感じる部位が障害されるため※4、音を大きくするだけでは聴こえの改善に繋がらないケースが考えられる。さらに、昨今の新型コロナウイルス感染拡大の状況下におけるマスク着用やパーティション設置により、さらに聴こえの課題は大きなものとなっている。

このような課題をなくし、誰もが聴こえやすい社会をつくりたい、という想いから、ユニバーサル・サウンドデザイン株式会社によって対話支援スピーカー「comuoon(コミューン)」が開発された。ここでは、comuoonの特長について大きく3つに分けてご紹介する。

①聴き取りやすいクリアな音
独自の技術により、難聴者の方の感度が低下する1,000Hz ~10,000Hzの高音域の音(子音)を増幅することで、適切な音量で聴き取りやすいクリアな音を出力。【図2】
②耳にまっすぐ届く強い指向性
特許技術であるエッグシェイプデザインを採用すること
で、音の指向性を高めて壁面反射を抑制。耳にまっすぐ音が届く仕組みを実現。(特許第5731602号)【図3】
③脳が認識しやすい音の実現
SonicBrainテクノロジーにより、音声を信号処理する際に脳が認識しやすい高精細かつ自然な音質を実現。

  • 【図2】【図2】
  • 【図3】【図3】

3.事例:認知症のスクリーニング検査における「comuoon(コミューン)」の有用性

3.事例:認知症のスクリーニング検査における「comuoon(コミューン)」の有用性

 MMSEを用いた検査においてMCIもしくは認知症と診断された75歳以上の高齢者を対象に、聴力低下による検査結果への影響に関する調査を実施した。comuoon使用時と未使用時の検査結果を比較したところ、実施対象者27名のうち21名の検査結果が向上した※5。【図4】(本調査における検査間の検査期間は平均4.3±2.1ヶ月間であった)
この結果から、comuoonを使用することで聴き取りが改善し、被検者本来のMMSEの点数に近い数字が出たのではないかと推測される。

4.おわりに

難聴は、コミュニケーションに支障をきたすだけでなく、認知症リスクを上昇させ、また、難聴によって認知症やフレイルと誤認されることもある。一方で、高齢者の中には自身が難聴であることに気付いていないケースも多く、話す側から聴こえの改善に取り組むことが、今後より重要になると考える。

※1 出典:Japan Trak 2018 調査報告
http://www.hochouki.com/files/JAPAN_Trak_2018_report.pdf

※2 出典:内田 育恵 他:日本老年医学会雑誌 49巻 2 号(2012:3)222-227
https://www.jstage.jst.go.jp/article/geriatrics/49/2/49_222/_pdf

※3 出典: Livingston G, et al : Dementia prevention, intervention, and care. Lancet, 390(10113) : 2673-2734, 2017

※4 出典:一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
http://www.jibika.or.jp/owned/hwel/hearingloss/#mechanism

※5 出典:平成30年度 老人保健事業推進費等補助金 老人保健健康増進等事業
認知症検査における難聴高齢者に対する音響整備と聴覚スクリーニング検査に関する調査研究事業「Ⅱ.聴覚理解低下が認知機能検査に及ぼす影響に関する実態調査」

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