「働き方改革」に向けた職員連携強化と業務軽減

アイホン(株)

医療市場開発部

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医療機関の労働環境の変化

2024年4月1日から施行される「医師の働き方改革」の実現には医師の負担軽減は不可欠です。その施策として医療スタッフの協働・連携によるチーム医療の推進、タスクシフト等に関して議論と法整備が進んでおります。
チーム医療、タスクシフトに不可欠な要素の1つが院内および職員間の連絡業務です。同職種間だけではなく、部門・部署を超えた多職種間でのスムーズな連絡が今後の医療機関に求められると考えております。

 

スマートフォン化の動向

2021年1月公衆PHSのサービス終了、2022年11月電波法改定などPHSを取りなく環境変化と、2014年12月医療機関での携帯電話等の使用指針、ICT活用による業務改善の推進により、院内ICT化、特にPHSからスマートフォンへの移行が進んでおります。スマートフォンのメリットは多様なコンテンツによる拡張性です。例えば、電子カルテの閲覧、PDA端末としての利用、音声サービス、各種情報の閲覧等、従来はPCや専用ツールを用いらなければならなかった業務をスマートフォン1台に集約し、業務効率化を図る取り組みが広がりつつあります。

 

医療機関内における連絡業務の課題

ICT化やスマートフォン導入が促進される昨今においても連絡業務には課題があります。それは医療機関内の半数以上を占める看護師が共用端末を利用し、シフト制で勤務しているため、出勤者が分からない誰が何番の端末を所有しているかが分からないことに起因して、探し回る、都度内線表を確認するなど業務負担増加に繋がるケースも見られます。単にPHSからスマートフォンへ移行しても解決できない課題となっており、チーム医療、タスクシフトなど、連携・連絡が更に重要度を増す中、弊社は共用端末・シフト勤務にも対応した連絡手段の確立が必要と考えております。

 

連絡手段の解決策

ご紹介する連絡手段の解決策は臨床現場との共同研究より開発した電話帳アプリとなります。但し、一般的な電話帳と異なる点としては、共用端末利用・シフト制勤務にも対応した電話帳アプリであり、『今日の出勤メンバーが分かる』、『簡単に連絡が取れる』部分となります(図1)。

 

全国自治体病院協議会,賛助会,働き方改革

図1.アプリ画面例

 

一般的な電話帳や電話帳アプリは登録した連絡先が50音順に羅列されますが、弊社電話帳アプリは勤務時のログイン操作だけで連絡可能な職員のみが表示されます。欠勤や帰社した職員が表示されないことでコミュニケーションロスの削減が期待されます。また連絡を取りたい人を名前以外に所属や役職等からも検索・選択が可能で、番号を気にせずに連絡することが可能です。
 管理面もクラウド上で一元管理により、常に最新の内線・外線連絡先を共有することが可能となり、管理業務軽減ペーパーレス化の推進に繋がると考えております。

 

【活用事例@】多職種連携

 更なる特徴として顔写真の設定も可能で、連絡を取りたい人の名前や役職に加え、相手の顔を把握して連絡することが可能です。相手を把握して電話できることで心理的負担軽減にも繋がるとの声もございます。利用中の地域包括病院では非常勤医師や補助員、外国人技能実習生等の多職種が働く環境の中で、名前・役職・顔が分かることで、コミュニケーションの活性化、連絡業務の軽減に寄与しております(図2)。

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図2.1日あたりの業務削減の実感した時間(弊社調べ)

 

【活用事例A】感染症病棟の共用端末活用

 Covid-19による臨機応変な勤務体制において、勤務する職員の入れ替りも増える中、レッドゾーン専用の共用端末にも対応していることで『誰が勤務しているかが分かる』点で、連絡業務の負担軽減に繋がっております。以下は利用中の感染症病棟での運用イメージ図となります(図3)。

 

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図3.レッドゾーン専用端末の運用

 

 臨機応変な勤務体制、専用端末の運用において、スマートフォンの故障や電池切れの際にも別の専用端末へログインするだけで連絡が取れる点も好評を頂いております。

 

【活用事例B】役割の可視化

 臨床現場において名前や職種、役職以外にリーダーや当直医など『今日の役割』で捜すケースも多く、同じ職員でも今日の役割が明示されることで円滑な連絡を支援することが可能となります (図4)。

 

【通常勤務時】

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【リーダー勤務時】

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図4.役割表示

 

ICTによる働き方改革に向けて

 本稿で紹介した弊社電話帳アプリにより、職員間連絡の業務軽減が図れた一方、電話回数が増加したとの声も上がっております。ある医療機関では電話連絡時の呼出回数ルールを設け、電話に頼り過ぎずない教育と運用の徹底を行う例もございます。
 弊社は臨床現場における最善策や運用方法を医療機関と共に検討し、「働き方改革」に向けた職員連携強化と業務軽減の支援、アプリの改善を継続して進めております。

 

 


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