病院BCP対策
災害発生時に病院の機能を支える立体駐車場施設
(株)内藤ハウスHP
営業戦略推進部
自然災害が頻発する近年では、災害発生時の被災者の受け入れは災害拠点病院に限らず必要不可欠なものとなっている。通常時は駐車場として使用する自走式立体駐車場のスペースは、災害時に、その屋根付きで開けたスペースが医療現場の補助として活用することができる。また、災害時に活用できる追加機能を備えておくこともできる。
病院のBCP対策として災害時の立体駐車場の活用方法や災害対策機能について紹介する。
①第2のトリアージスペース、避難場所としての活用
立体駐車場の空間はトリアージスペースとして活用が可能な広さを確保できる空間となっている。場内を自動車が走行するため広さと強い構造を持った設計となっている。また普段病院利用者が使用することを想定し、病院用の立体駐車場は駐車スペース付近の柱を少なく設計することが多い。このため、災害発生時には広いトリアージスペースとして活用することに適した空間を確保できる。また、シートや鋼板製の仮設間仕切り壁を設置することで、避難場所や、仮設の診察・検温施設として活用することができる。防災対応装備については次項で述べる。
②防災家具・備品の装備
立体駐車場を災害時にカスタムし、対応をするための様々なオプション防災備品を備蓄倉庫に備えておくことができる。
取付が簡単な鋼板製間仕切りを設置することにより簡易的に室内空間を作り出すことができる。この空間を仮設診療室・検温所、近隣住民の一時避難所として活用することができる。災害時の使用を想定する駐車枠の車止めは取り外し可能なものを使用する。
また、様々な防災装備により災害直後の避難施設としての機能を果たすことができる。かまどベンチなどが考えられる。これらに加え災害時利用想定スペースに非常用給水栓・非常用コンセント等を装備することで帰宅困難者一時滞在も可能な施設となる。地域を守る施設として災害時の病院BCP機能充実の一助となる。主な装備例は防災トイレ及び汚水接続設備、段ボール間仕切り、災害対応型自動販売機などがある。
③再生可能エネルギー活用による電気の消えない施設と脱炭素化社会への貢献
自走式立体駐車場の広くフラットな屋上階は太陽光発電施設を設置することに適している。屋上階に太陽光発電設備を設置することで通常時の電力供給を行うとともに、蓄電設備を設置することで災害発生時、トリアージスペース、仮設診療施設・近隣住民の避難施設として活用する際に停電を発生させず、地域を守る機能を確保できる。
また太陽光パネルを壁面に設置し屋上階も駐車場として台数確保することもできる。パネルの壁面設置時の発電効率は現在も研究開発が進められている。
駐車場運営企業と連携し、駐車場内にEVのカーシェアリング事業を取り入れることで、太陽光発電からEVへ充電することができる。災害時にはEVを電源として利用することも可能である。
これらの太陽光発電施設で使用する太陽光パネルや蓄電池はリユース製品を使用することができる。
使用済太陽光パネルの排出時からリユースに至るまでの取扱履歴、検査情報、リユース可否判断等の情報をブロックチェーン技術を活用した情報管理により、適正に管理されたパネルを再利用できる。
またEV用の蓄電池は70%前後の寿命前で交換される。これらの蓄電池を産業用蓄電施設として再利用できる。これらリユース設備を活用することで再生可能エネルギー活用のさらに一歩先を行く循環型社会形成並びに脱炭素化社会の実現に貢献していく事ができる。